シェーライト シーライト 灰重石 SCHEELITE

シェーライト シーライト 灰重石 Scheelite No.5Mine,Baia Sprie,Maramures Co.,Romania
Scheelite No.5Mine,Baia Sprie,Maramures Co.,Romania

名前の由来はスウェーデンの化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレが由来で、この石の研究を行っていたことからとのこと。
日本名の灰重石は、灰=カルシウム(Ca)・重石=タングステン鉱。
タングステンは電球のフィラメントなどに使われている融点が高く比重が重いレアメタルです。
元素記号W、原子番号74。
タングステンの鉱石としての採掘量は、鉄マンガン重石 (鉄重石)(ウォルフラマイト wolframite)についで2番手を担っています。

鉄マンガン重石との関係

鉄マンガン重石 産地不詳 wolframite
wolframite 鉄マンガン重石 産地不詳

鉄マンガン重石は、鉄重石(ferberite)とマンガン重石(Huebnerite)の連続固溶体の関係です。
鉄重石 FeWO4 ー 鉄マンガン重石 (Fe,Mn)WO4 - マンガン重石(MnWO4)
固溶体のルールにより、端成分である鉄とマンガンに鉱物名が分けられています。

固溶体を形成する鉱物の命名

固溶体を形成する鉱物を命名する際には、いわゆる「50%ルール」に従う。AとBを端成分とする2成分固溶体の場合、A50B50を境界として2つの鉱物名にするというものである。 例えば、斜長石はNaAlSi3O8(Ab)とCaAl2Si2O8(An)を端成分とする連続固溶体であるため、A50B50を境にして、Ab側を曹長石(アルバイト)、An側を灰長石(アノーサイト)とする。wiki 固溶体より引用

ラブラドライトに掲載しています表もこのルールが適応されたものです。

そもそも…
鉄マンガン重石という石はもともと知られていましたが、その成分がはっきりわかっていませんでした。(当時はマンガンもタングステンも未発見です。)
そんな中、1751年スウェーデンで重い石=タングステンと呼ばれていた白い鉱物(=現在の灰重石)が発見されます。
シェーレはその発見から30年後の1781年、その白い鉱物を分析し未知のものだろうと思われる物質を発見。
ですが、その発見した物質を単離できませんでした。
それから2年後の1783年、ファウスト・デ・エルヤルが鉄マンガン重石から物質の単離に成功。
その単離させた金属の元素名をウォルフラム(wolfram)と名付けましたが、シェーレの単離に至らなかったあの物質と同じものということが判明します。
しばらくはウォルフラムと呼ばれていましたが、現在はタングステンという名前が国際的に用いられています。
ちなみにタングステンの元素記号のWはwolframのWです。

白熱電球

このタングステンですが、工業的用途があります。
現在ではLEDが登場し主流となりましたが…
この白熱電球のフィラメントに利用されているのは、タングステンです。

エジソンとスワン

白熱電球の発明というとトーマス・エジソンが浮かぶと思うのですが、1年の差で最初に発明したのはジョゼフ・スワンです。
どちらが先でだからどちらが偉い!という話ではなく、エジソンとスワン、この二人は世の中に灯というよりよい生活をくれた人。
研究して研究して、行き着いた場所の発明はすごい事。
さらにその発明したものをもっと便利に使いやすく開発を、そしたら工場の整備も、そして人員の確保・強化そして教育も、そしてもっともっともっと…
ものを作るということはゴールのない作業。
そして作り出したものを商業ベースにのせられるかどうかで、作ったものが世の中の役に立つか否かをある程度決定付けると思います。
よいものができてもコストがあまりにも合わないものは、使ってもらうことができなくて広まっていきませんよね…
また、こんないいものがあるよという情報が必要な人に届かなければないことと同じことにもなってしまいます。
エジソンとスワン、お互いに次々と戦略を展開し合い歩んでいきます。
エジソンは発明だけではなく、特許戦略等にも長けていたといわれています。
1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄である。
まさに…!と思った調べものタイムでした。
あくまで個人的な感想ですが、傍から見るとこのライバル関係があったからこその今の素敵な暮らしなのだと思いました。
…本人同士がどう思っていたかは謎ですが(笑)

灰水鉛石との関係

ちなみに、灰水鉛石(パウエライト)CaMoO4と灰重石は固溶体の関係です。
タングステンがモリブデンに置き換わり、タングステン<モリブデンとなると、灰水鉛石となります。

基礎データ

  • 化学組成 タングステン酸塩鉱物 CaWO4
  • 色 無色 黄色-オレンジ 灰黒色等
  • 条痕 白色
  • 結晶系 正方晶系
  • へき開 明瞭
  • 硬度 4.5-5
  • 比重 6.1

※補足
灰重石の蛍光 すべての灰重石が蛍光するわけではなく一部しないものもあります。
蛍光する場合の蛍光色は青白色です。