ヒューランダイト 輝沸石 Heulandite
Heulandite Aurangabad District, Maharashtra, India |
名前の由来
英名の読みは ヒューランダイト もしくは ヘウランダイト 。
和名の 輝沸石
は、へき開に沿った部分が真珠光沢でキラキラと煌くことからの命名とのこと。
英名の命名は、鉱物コレクターでありディーラーでもあった貿易商のジョン・ヘンリー・ヒューランドにちなみ、イギリスの鉱物学者ヘンリー・ジェームス・ブリックが1822年に命名したと言われています。
石好きならばなんとなくこの二人の関係がとても良い関係だったのだなと思うところの由来ですね。
棺形〜coffin〜
Heulandite Aurangabad District, Maharashtra, India |
結晶の形はよく言われるのが…
棺形
日本で使われているあの真っ直ぐな形ではなく、この場合の棺はドラキュラの棺の形を思い出してください。
長いほうの辺の真ん中が広くなっているあの形です。
この形が見えないと、肉眼でぱっと見たときに他の沸石と共生していることが多いため、わかり辛いと思います。
アポフィライトと束沸石と輝沸石等よく見かけると思います。
産地 産状
Heulandite Aurangabad District, Maharashtra, India |
- 花崗岩・ペグマタイト・玄武岩の(他の沸石とともに)
- 変成岩
- 風化した安山岩・閃緑岩
等など…
あちこちから産出されます。
有名なところですと…
- インド ナーシック・プーナ
- アイスランド ファローエ島
- アメリカ ニュージャージー州
- 日本 小笠原諸島 父島等
床下湿気取りとガソリンと除染!?
(以下、沸石全般のお話をします。)
沸石は、分子レベルの小さな孔がたくさん空いた多孔性の結晶構造をしています。
更に、鉱物中に水分を含むため、加熱するとその水分が蒸発します。
参照 ゼオライト(スコレサイトの中にゼオライトの記述があります。)
スポンジはたくさん孔が空いていて、水をたくさん吸いますよね。
それと同じに分子レベルで考えると、水・気体の中の分子をくっつける役割をし、結果、臭い取りや湿気取りとして活躍します。
また、この作用にプラスして、分子をくっつけるときの化学反応等いろいろ組み合わせて土壌や水から有害な物質の除去などにも利用されます。
水が出入りすることにより、結晶構造は崩れないのか?
例えば石膏は焼くと粉になります。
ですが沸石は水分の出入りによってフレームが崩れることはなく、この崩れなさがいろいろ応用される所以でもあります。
また、臭い取りといえば有名なところで炭がありますが、同じく炭も多孔性であり原理としては同じシステムです。
古代エジプトでは傷の腐敗したにおいを消すために利用されていたそうです。
この孔を分子レベルのふるいとして考えた場合、原油を分解するときの触媒としても利用されています。
カビの大敵!床下の湿気取りからガソリン精製、はたまた除染にも利用され活躍する沸石。
生活に密着した鉱物です。
基礎データ
Heulandite Aurangabad District, Maharashtra, India |
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化学組成 珪酸塩鉱物 (テクト珪酸塩鉱物)
(Ca,Na2)Al2,Si7O18・6H2O - 色 白色・無色・灰色・ピンク色・黄色・緑色・茶色等
- 条痕 白色
- 結晶系 単斜晶系
- へき開 一方向に完全
- 硬度 3.5~4
- 比重 2.1~2.2