ベータ石英 高温石英 高温型石英 β水晶 Β-QUARTZ

ベータ石英 高温石英 高温型石英 β水晶 茨城県日立市初崎 B-QUARTZ
茨城県日立市初崎

通常の石英ができる温度よりも高い温度でできたとされる石英を高温(型)石英・ベータ石英・ハイクォーツと呼び区別されています。
それは結晶の姿が違い、通常の水晶は六角柱状の姿ですが高温型はこの柱の部分がないもしくはとっても少しだけ柱がある、底面がくっついた六角錐の形です。

石英の形から考える

ベータ石英 高温石英 高温型石英 β水晶 B-QUARTZ Tjiemas, Preanger, Java, Indonesia
B-QUARTZ Tjiemas, Preanger, Java, Indonesia

石英の2種類ある形から、2種類の石英を考えていきたいと思います。

SiO2

名前 できる温度 結晶系 見られる場所
 低温型石英(α石英・低温石英)  573℃↓ 六角柱状  三方晶系  石英脈中
 高温型石英(β石英・高温石英)   870−573℃   ソロバン形  六方晶系  火山岩中・火山性堆積物中 

多形 同質異像と相転移

組成(SiO2)は同じだけれど、結晶構造の違うものを多形(もしくは同質異像)といいます。
多形とくれば、ダイヤモンドと石墨の話です。
同じ炭素でできているこの2つ、違ってしまう原因は、結晶が育つ環境にあります。
ですが、低温石英と高温石英は、結晶ができたあとに相転移ということが起きて多形となっています。

説明の仕方が正しいかと言われる疑問ですが…^^;

  • 4人家族→結晶
  • お父さん・お母さん・お姉ちゃん・自分→原子

お父さん・お母さん・お姉ちゃん・自分の4人家族があったとします。
お父さんの身長は178センチ・お母さんの身長は155センチ・お姉ちゃんの身長は148センチ・自分の身長は130センチ。
この家族は一番身長が大きい順に並んで手をつないでいました。
ですが、成長し、自分の身長がお父さんの身長を超えて185センチになりました。
さらに、お姉ちゃんはお母さんの身長を超え158センチとなりました。
そこでうまく収まりがいいように、自分・お父さん・お姉ちゃん・お母さんと並びかえ手をつなぎました。
家族は仲良く過ごしましたとさ。

家族構成(原子)は変わりませんが、並び方が途中で変わりました。
結晶の構造間での変化相転移といいます。

低温型石英と高温型石英は、組成は同じで、温度が引き金の相転移が起きた多形です。

高温型石英の仮晶

ベータ石英 高温石英 高温型石英 β水晶 茨城県日立市初崎 B-QUARTZ
高温石英 茨城県日立市初崎

見出しのような表現をする場合がありますが、これはどういうことなのでしょう?
これは高温石英が相転移を起こすと、見た目の姿はそろばん型で高温石英の姿ですが、中身の結晶構造は低温水晶になっているということです。
仮晶とはとある鉱物が結晶した形を残したまま、中身が別の鉱物に置き換わってしまうことをいいます。

それはなぜそうなるのか?

マグマが冷えて固まる温度は、高温石英ができるくらいの温度です。
一度高温石英ができ、その後、温度が573℃を下回ると相転移をおこし低温石英となります。
つまり、見た目の形はそろばん型の高温型石英なのですが、中身の構造は低温型石英ということになります。
このため、高温型石英の仮晶という言い方をします。

高温型石英の見られる場所

ベータ石英 高温石英 高温型石英 β水晶 B-QUARTZ Tjiemas, Preanger, Java, Indonesia
B-QUARTZ Tjiemas, Preanger, Java, Indonesia

高温型石英の産出場所として火山岩や火山性の堆積物の中ということがあげられますがこれはどうしてか?

マグマだまりの中で結晶し、高温石英ができたとします。
このマグマだまりでマグマの上昇がおきた時、高温石英を含んだ岩石ができます。
その岩石は、時とともに風化し、岩石によって包まれていた高温石英が出てきます。
さらに風化が進むと、ポロンと高温石英が岩石から外れて落ち、その落ちたものが雨が降って流され、同じ場所に高温石英がたくさんあるという事が起きます。

大きさは小さいもの(2センチ以下)が殆どで、小さいものは透明なものがありますが大きなもので透明感が良いものはとても少ないです。
また、そのソロバンの形もぴしっと美しいものは少ないです。

※高温型石英ができる条件は温度だけが要因ではなく、環境要因(珪酸が豊富なマグマの中での成長等)も無視できない条件といわれています。