ラピスラズリ Lapis Lazuli

Lapis Lazuli badakh shan in Afghanistan
badakh shan in Afghanistan

 ツタンカーメンのマスクに使われていたことで有名なラピスラズリ。
”ラピス”はラテン語で”石”、”ラズリ”はペルシャ語で、”青い”です。
美しいブルーの色合いは、”成功”や”幸運”という言葉とともに、アクセサリーとして誰もが知るところですが、この石は数種類の鉱物が一つをなしている姿です。
主成分鉱物はラズライト(lazurite)で和名を青金石といいます。
ちなみに、カタカナ表記で同じラズライトといえば、コレクターに人気の天藍石(lazulite)もありますが、全く別の鉱物です。

ラピスラズリをなすもの

  • ラズライト 青金石
  • アウィン 藍方石
  • ノーゼライト ノゼアン 黝方石(ゆうほうせき)
  • ソーダライト 方ソーダ石
この4つは固溶体関係で方ソーダグループの仲間です。

この2つは目でよーく見ると金粉をまぶしたようにパイライトは見えると思いますが、混在しています。

青金石 ラズライト

メイン鉱物である青金石について記します。

マグマと岩石が接触した石灰岩中に産します。
ラピスラズリの塊を想像すると、結晶の形ではあまり産出はされないのかと思いがちですが、菱形12面体や立方体の姿が見られます。
産出地は、ロシアバイカル湖の周辺・カナダ・アメリカカリフォルニア州・アルゼンチン・チリ・アフガニスタン(良質)・イタリアベスピオ山周辺があります。
原産国はアフガニスタンです。

基礎データ

  • 化学組成 珪酸塩鉱物  Na6Ca2(Al6Si6O24)(SO4,S,S2,S3,Cl,OH)2
  • 色 深い青を基準に色の深みのバリエーションあり
  • 条痕 明るい青色
  • 結晶系 等軸晶系
  • へき開 不明瞭
  • 硬度 5.5
  • 比重 2.75

注意点

日光・水に気を付けてください。
塩酸と反応すると硫化水素が発生しゼラチン化するそうです。
お掃除の洗剤は要注意です。

つぶやき

いくつか有名所を調べましたが…
青金石は鉱物というくくりで現在の定義付けを再定義すべきだとの意見など、いろいろな意見がありました。
また、先に述べた天藍石と青金石がそもそもわかりにくいということから端を発し、記載が入り混じってしまっているケースの多さが目立ちました。
有名無名を問わず、ウェブでも書籍でも…。

もともとラピスラズリは塊の青い部分が結晶と認識されていたようですが、1891年、青金石という名前に改名されています。
改名された理由やきっかけなどのエピソードは見つけられませんでした。
またとある文献には、青金石は藍方石の亜種ではないかという意見も見られました。
そもそも青い固溶体連合ですものね…
他にはラピスはいろいろなものが混じってる岩という概念が違うのではとの意見も見受けられました。
確かに青い固溶体連合と考えると、岩というのはいかがなものかと思ったりもしますが、青い部分だけをラピスラズリというのか、パイライトや方解石も含めてラピスラズリというのかで違ってくるかなと思います。

いろいろな意見が交錯する中、歴史の中に長く存在するということが強く影響していると感じた事でした。
人のそばにいるラピスラズリという言葉と青。
夜空の星を金色の星や白い斑とともに石に投影したはるか昔の時代。
そこに学問という人間の英知が入り込み、その分類の中で相違が出てくる…

ラピスラズリという超有名な宝石名が数千年も歴史の中に存在し続けるということの意義。
この場で鉱物としての追求をするのは野暮ってものなのかもしれません。
歴史を彩る特別な存在。
風格を感じる青。
学術的にきちんと定義付けをしなければいけないことだということはもちろんです。
ですが、歴史の中のラピスラズリをこのあとはちょこっと記してみたいと思います。

歴史の中のラピスラズリ

Lapis Lazuli
Lapis Lazuli

古代エジプトで、お化粧の色を出すのに使われていたこともあり、岩に絵を描く絵の具としても使用されていたそうです。
冒頭で述べたツタンカーメンのラピスラズリももちろんのこと、古代エジプトやメソポタミアでは、冥界を旅する者のお守りだったそうです。

また、旧約聖書などで言うサファイアはこのラピスだったのでは?と言われています。

ラピスを原料とした青色顔料に”ウルトラマリン”があります。
このウルトラマリンとは、”海を越えてきたもの”の意味だそう。
このことからウルトラマリンブルー(群青色)という色の名前ができました。

七宝

七宝 (シチホウ・シッポウ)とは、仏教用語で七種の宝のことです。
七種 (ナナクサ)の宝・七珍(シッチン)とも言うとのこと。

経典による七宝の違い

無量寿経(ムリョウジュキョウ)では
  1. 瑠璃(ルリ)→ラピスラズリ
  2. 玻璃(ハリ)→水晶
  3. シャコ→シャコ貝
  4. 珊瑚→サンゴ
  5. 瑪瑙→メノウ
法華経(ホケキョウ・ホッケキョウ)では
  1. 瑪瑙→メノウ
  2. 瑠璃(ルリ)→ラピスラズリ
  3. シャコ→シャコ貝
  4. 真珠
  5. マイ瑰(マイカイ)
マイ瑰(マイカイ)とは、調べたのですがいまいちわからず。
しかし、ラピスラズリの存在はきちんとここにも刻まれています。
七宝にまつわる法話を最後に一つ。
仏様はそれぞれ浄土を作り、私達をそこへ迎え入れる。
その仏国土(ブッコクド)が七つの宝を合成して作られている。
これを、七宝合成(シチホウゴウジョウ)という。

どんな景色の浄土なのか、石好きには激しく気になるところです…(笑)

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