ラズライト 天藍石 LAZULITE
Lazulite Rapid Creek, Dawson Mining, Yukon Territory, Canada |
人気の天藍石。
濃いブルーの結晶に心奪われる方も多いのではないでしょうか?
ラピスラズリの主成分である青金石のカタカナ表記がラズライトとなり、この天藍石のカタカナ表記も同じ。
和名と英名の綴りのLとRで判別してください。
- 青金石 せいきんせき lazurite ラズライト
- 天藍石 てんらんせき lazulite ラズライト
産地産状
ピラミッドのような形や塊、粒状で見られます。
花崗岩ペグマタイト・石英鉱脈・変成岩に産します。
アメリカ・カナダ・ブラジル・スウェーデン・オーストリア、そして日本にも産します。
鉄天藍石
(Mg,Fe)Al2(PO4)2(OH)2
マグネシウムと鉄が入れ替わると鉄天藍石となり、天藍石と鉄天藍石は完全固溶体の関係です。
マルティン・ハインリヒ・クラプロート
ドイツの科学者で、この天藍石の発見者。
ベルリン大学の初代の化学教授です。
チタン・ジルコニウム・テルル・セリウム・ウランと多岐にわたって関わった人物です。
それぞれの物質にクラプロートがどのようにかかわったのか触れてみます。
チタン
1791年アマチュア鉱物学者ウィリアム・グレゴールにより海岸の砂の砂鉄の中に鉄以外の物質を発見しメカナイトと命名。
1795年クラプロートによりルチル鉱石の中に新元素を発見しチタンと命名。
グレゴールとクラプロートの発見物は同じものであった。
ジルコニウム
古代からジルコニウムは利用されていたが、その中に新しい金属があるとは思われていなかった。
しかし、クラプロートはジルコニウムを分析し、それまでの定説を覆し新鉱物を発見した。
分析能力にたけた人物であった。
テルル
モリブデンを含む銀と呼ばれた鉱物があり、その鉱石を鉱物学者ミュラーが分析・研究を続けたが上手くいかず、クラプロートに送って分析してもらった結果、新しい金属であることが解った。
セリウム
1803年クラプロートはセル石と呼ばれるものの中に新しい土を発見。
同時期、ベルセリウスとヒージンガーによって同一のものを発見。
1801年に発見された小惑星ケレスにちなみセリアと命名。
このセリアは多数の希土類元素を含む酸化物で単離されていなかった。
単離されたのは発見から26年後、1839年のこと。
ウラン
1789年ピッチブレンド(当時亜鉛と鉄の鉱石と思われていた)を分析し、黒い粉末を得てこれをウランと命名。
この50年後、金属ウランのが単離されて、クラプロートの得た黒い粉末は酸化物だったことが判明。
放射能の研究がキュリー夫人により進み核分裂が発見。
ご存じの方向に利用されていくこととなる。
放射性元素だということが解る前はウランガラス(ウランをガラスに混ぜると緑色の蛍光が出る)など世の中に出回るが、判明した後はウランを一般で扱うことは難しくなり、現在は骨董品として出回る。
分析手腕に長けたクラプロート。
これはすごいですね!
基礎データ
- 化学組成 リン酸塩鉱物 (Mg,Fe)Al2(PO4)2(OH)2
- 色 青色 白色など
- 条痕 白色
- 結晶系 単斜晶系
- へき開 不明瞭
- 硬度 5.5-6
- 比重 3.1-3.4