アパタイト apatite

APATITE Madagascar
APATITE Madagascar
和名は燐灰石。
アパタイトという名前の由来は、ギリシャ語の”apate”=”裏切り/惑わし”という単語からとのこと。
緑柱石、や水晶、トルマリンなどと間違えられるため(晶癖が一定しない)に付いた名前だそうです。

アパタイトとは

色合いのバリエーションはとても広く濃い青~薄い青、緑、バラ色、紫、褐色、黄色、灰色、無色etc…
ガラス光沢で、結晶の形も六角柱状、板状、塊状、粒状と、色味に負けず劣らぬバリエーションです。

透明感がよいものはカットされ、ルースに加工されているものも多く流通しています。
また、カボションカットされたものは、キャッツアイ効果※1がみられるものもあります。
ミャンマー・スリランカ・ブラジル産などのものに見られます。

こうして加工されるようなタイプのものはペグマタイトからの産出がほとんどを占め、火成岩の副成分鉱物として産出されます。
※1 カボションカットした石に白い光の帯が出現する効果

副成分鉱物

岩石を構成している鉱物の中で含まれている量が少なく、岩石を分類するうえで勘案されない鉱物をいいます。
これ以外では、熱水鉱脈の構成成分としての産出、および海成層でも産出され世界のリンの主要な供給源となっています。

海成層

堆積物が海洋底に堆積してできた地層をいいます。
燐灰石という名前はグループ名で、含まれている成分で以下の3つに分かれます。
  1. フッ素燐灰石 Ca5(PO4)3F
  2. 水酸燐灰石 Ca5(PO4)3OH
  3. 塩素燐灰石 Ca5(PO4)3Cl
産出量が多い順に記載しました。
フッ素燐灰石は主要なリンの資源鉱物で、塩素燐灰石は産出は少ないものです。

虫歯予防のフッ素とアパタイト

APATITE Madagascar
APATITE Madagascar
さてここで、フッ素燐灰石と水酸燐灰石について触れます。
歯医者さんでフッ素塗布をやられたことがある方、または聞いたことがある方がほとんどだと思いますが、歯のエナメル質の9割を超える物質は燐灰石=アパタイトです。
エナメル質とは歯の一番外側の、口をぱかっと開けた時にこれが歯です!と見える部分のことです。
歯・骨の主要な成分としてこのアパタイトはハイドロキシアパタイトといいます。
化学式 Ca10(PO4)6(OH)2
これにフッ素が絡むとOHがFとなり、フッ化アパタイトとなります。
化学式 Ca10(PO4)6F2

OH→Fに代わることによって何が違うのか?となりますと、”耐酸性の向上”です。
虫歯の原因として考えられているのはミュータンス菌というグラム陽性通性嫌気性連鎖球菌と言われていて、このミュータンス菌が砂糖を餌に食べかすをつくり酸を出すことが虫歯の原因と言われますが、歯のほうを酸に強い歯にして虫歯になりにくくしようという考えをベースに虫歯予防は考えられています。

身近なアパタイト

APATITE
APATITE
燐灰石の用途は、化学肥料によく使われています。
お花の肥料の袋に必ず見かける名前と思います。
またマッチの頭の部です。
赤い部分が剥げて摩擦熱でまずリンが燃え、その次に硫黄などが燃えてぽっと灯がともります。
リンは燃えやすい性質があるので、この性質を利用しています。

そして、ご記憶にあると思いますが、サリン事件あのサリンはリンを有する化合物です。
日本でも産出されており、栃木県日光市・足尾銅山、神奈川県丹沢山地などがあり、日光市では宝石級のアパタイトが産出されたことがあるとのことです。

基礎データ

  • 化学組成 リン酸塩鉱物
    フッ素燐灰石 Ca5(PO4)3F
    水酸燐灰石 Ca5(PO4)3OH
    塩素燐灰石 Ca5(PO4)3Cl
  • 色 濃い青~薄い青、緑、バラ色、紫、褐色、黄色、灰色、無色etc
  • 条痕 白色
  • 結晶系 六方晶系
  • へき開 なし
  • 硬度 5
  • 比重 3.10-3.35

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