石の基礎知識として、鉱物が割れるときの へき開 裂開 断口について一つ一つ見ていきます。
へき開
ハンマーなどで衝撃を加えると、ある一定の方向で割れたり、板のように薄くはがれたりする場合があります。
原子の結合が部分的に弱くなっているところに沿って、ぱかっと割れます。
それをへき開といいます。
へき開で割れた面(へき開面)は平面です。
更に、原子の結合が弱くなっているところが割れるため、結晶面に対して平行・直角・斜方向の割れ方となります。
へき開は、ある鉱物とない鉱物があります。
へき開の程度
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完全
へき開に沿って割ると、なめらかな面が出現し他の方向には割れにくい。 - 良好
へき開に沿って割れるが、それとほぼ直角な方向にも割れる。 -
明瞭
へき開によって割れるが、他の方向にも割れやすく、断口が現れる。 - 不明瞭
簡単に割れ、注意してみないとへき開が判別できない。 - なし
へき開がない。
の区分があります。
この記載なのですが、これ以外にも色々な記載があります。
- →完全 明瞭または良好 不明瞭または不完全 なし 等
また、割れる方向を記載する場合もあり、方解石(カルサイト)は理科で登場する、”マッチ箱をつぶしたようなひし形”は、
- →3方向に完全、白雲母は1方向に完全
と記載されたりします。
色々な記載方法がありますが、上記の例を参考にしてみてください。
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蛍石のへき開を利用して割ったもの |
裂開
擬へき開ともいわれ、本来はへき開を示さない鉱物であるにもかかわらず、特定の方向に割れる性質をいいます。
これは繰り返し双晶・内包物の関係・成長時にできた欠陥等によってできるものです。
へき開割れの場合、細かく何度も同じ方向に割れていくことがありますが、裂開の場合はありません。
断口
へき開・裂開以外に割れた面を断口といいます。
割れた面は不規則で不平滑です。
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貝殻状
二枚貝の殻に似ている形
→黒曜石、水晶等細い線がたくさん入っていて、2枚貝の表面に似ています。
花十勝 黒曜石
北海道紋別郡白滝産 -
平坦状
多少の凹凸はあるが、全体的にほとんど平らな面をしている形。
→石炭、硬石膏等 - 不平坦
不規則で凸凹の多いギザギザの割れ口。
→クリソコーラ等 -
鋸刃状(不平坦状)
不規則で凹凸の多い割れ口。
→硬マンガン鉱、硫黄等 -
針状針
の先端を無数に並べたように小さな突起。
→自然銅、自然金等 -
土状
土の塊が割れたような形。
→ボーキサイト等
Bauxite Indonesia
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多片状
板を踏んで割った時のように片状の突起が不規則にみられるもの。
→雲母、ヘマタイトなどHematite Imilchil Morocco