石の基礎知識 結晶

石の基礎知識 結晶
石の基礎知識 結晶

結晶とは

宝石店で並んでいる宝石は人間の手でカットされ磨かれていますが、水晶など原石を見たとき何故この形になるのか不思議に思ったことはないですか?
”結晶”とは正にその不思議に思った形になることそのものです。

石をもっと小さな単位で見ていくと、原子が規則正しく周期的に配列しています。
これこそがその石の形”結晶する”ということです。
原子の配列が繰返されることでその石の外形・形が作られ、そしてその形は対称性を持ちます。
その対称性によって、結晶は6つに大別され”結晶系”と呼ばれます。
面と面とを結ぶ軸(結晶軸)と、その結晶軸が交差する部分の交差角度によって分類されています。

6つの結晶系

各項目の緑色の図は結晶軸とその交差角度を表していて、その結晶系の外形を表しているものではありません。
結晶系の外形の一例としての図は、ピンク色の図です。
各鉱物の外形は多種多様ですが、この結晶軸により全ての鉱物は6つに分類されます。
※6つの結晶系ではなく7つの結晶系の分類も提唱されていますが、ここでは6つの分類で記載します。

等軸晶系(立方晶系)

サイコロのような立方体が基本的です。
八・十二面体もありますが、どれも結晶軸と交差角度は同じものです。
  • ダイヤモンド・岩塩・黄鉄鉱・蛍石等。
  • 結晶軸 3本とも同じ長さ
  • 交差角度 90°
等軸晶系(立方晶系)
等軸晶系(立方晶系)

正方晶系

基本的な形は直方体ですが、四角柱や両錐体で現れるものが多いです。
両錐体の場合は底面がお互いにくっついた形(ピラミッドの底面がくっつたような形)が多いです。
  • ジルコン・ルチル・黄銅鉱・魚眼石等。
  • 結晶軸 3本の結晶軸のうち2本が同じ長さで1本が異なる長さ
  • 交差角度 90°
正方晶系
正方晶系

斜方晶系

斜方晶系の英名は”orthrhombic”→角が直角の平行四辺形という意味の名前がつけられています。
  • トパーズ・重晶石・白鉄鉱・硫黄・天青石等
  • 結晶軸 3本とも異なる長さ
  • 交差角度 90°
斜方晶系
斜方晶系

単斜晶系

単斜とは、一本の軸が傾いているという意味です。
晶系の中で一番多くの鉱物を含みます。
縦に半分に割ると同形となります。
  • 石膏・孔雀石(マラカイト)・緑簾石(エピドート)等
  • 結晶軸 3本とも異なる長さ
  • 交差角度 3つの角度のうち2つは90°で、一つは90°ではないもの
単斜晶系
単斜晶系

三斜晶系

結晶系の中で一番対称性が低いものです。
その鉱物によって、様々な形が出現する晶系でもあります。
  • トルコ石・藍晶石・バラ輝石(ロードナイト)等。
  • 結晶軸 3本とも異なる長さ。
  • 交差角度 3つの角度全て90°ではないもの。(それぞれ鋭角で交わっている。)
三斜晶系
三斜晶系

六方晶系 三方晶系

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この六方晶系と関わりが深いので、冒頭にお話した7つの結晶系に少し触れます。
もうひとつの結晶系の名前は”三方晶系”といいます。
結晶を360°回転させた時、同じ形(面と稜の位置関係)が2回以上現れれば対称性を持っているといいます。
同じ形が6回現れる(6回回転対称軸と呼びます)六方晶系ですが、実は3回だけ現れている(3回回転対称軸)のでは?と考えた場合、三方晶系は誕生します。
この六方晶系との分類は見た目でははっきりわからず、確定するには原子構造をきちんと調べないとわかりません。
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  • 六方晶系 緑柱石(エメラルド・アクアマリン)・燐灰石等
  • 三方晶系 石英・方解石・電気石等。
  • 結晶軸 4本の結晶軸を持ち、そのうち3本は同じ長さで同一平面上にあり、一本のみ異なる長さ。
  • 交差角度 同一平面上の3本の軸は互いに120°で交わり、残りの一本は同一平面上の3本の軸と90°で交わる。
六方晶系
六方晶系
以上6つの結晶系を列挙しましたが、これはあくまで理想的な形です。

鉱物が成長するときになんの問題もなく(環境的な障害がなく)すべての方向に綺麗に育った場合になる形です。
しかし、産出されるものはこのように理想的で綺麗な結晶の形はほとんどしていません。
狭い空間で、色々な環境の影響をうけて、細長くなったり角がなくなったり色々な形で産出されます。
更に結晶が組み合わさったり、たくさんの結晶が群れをなしたように産出されることもあります。
迷いやすいですが、結晶軸を基本に考えるという前提で考えると、このような分類になります。

晶癖と晶相

先に述べたように、外的な要因が元で理想の形に成長できなかった鉱物は同じ鉱物であっても違う形で産出されることがほとんどです。
その場合、針状・柱状などとその鉱物の形を言い表すと思いますが、鉱物の結晶の外形のことを”晶相””晶癖”といいます。
  • 晶相 結晶面の組み合わせが異なることによってできる形の変化をいいます。
  • 晶癖 結晶面の組み合わせは同じですが特定の結晶面に異常発達が見られ、これが原因で形が違って見えることをいいます。
こうなってくると、立方体の結晶の形で産出された鉱物は等軸晶系と考えがちですが、そうではない鉱物である可能性も十分にあります。
例えば、黄鉄鉱は等軸晶系ですが、五角十二面体の形もあります。

以下に晶癖・晶相の具体的な表現例を書いておきます。

結晶の形の呼び方

  • ”針状”(しんじょう) 細く尖った形のもの
  • ”板状”(ばんじょう) 平たいテーブル状
  • ”柱状”(ちゅうじょう) 細い柱のような形
  • ”錐状”(すいじょう) 錐面が発達した形
ちなみに、モリブデン鉛鉱の板状結晶は、”板状晶癖を示す”などと表現されます。

集合体の呼び方

小さな結晶がたくさん集まったものの外観を表す言葉は以下のようなものがあります。
  • 放射状 針状等の結晶が放射状に広がったもの。
  • 樹枝状 結晶が連なり、木の枝のようになっているもの。
  • ブドウ状 ブドウの房のように細かい結晶が丸い結晶を作っているもの。
  • 腎臓状 ブドウ状よりも大きい結晶が集まっているもの。人間の腎臓のような形。
  • 層状 鉱物が層になっているもの。
  • 鍾乳状 鍾乳石のような形になったもの。
  • 箔状 金箔のようにとても薄い膜のようになっているもの。
  • 鍾乳状 鍾乳石のようにつららのような形になっているもの。
  • 球状 丸い形。
  • 皮膜状 薄い皮が石にはりついているようなもの。
  • ヒゲ状 長いヒゲのような形。
  • 針状 針のような形。
  • 毛状 毛髪のように柔らかく細くふさふさしてるもの。
この他にもたくさんありますね。

結晶面の呼び方

  • 面 結晶を取り巻く面
  • 稜 二つの面が交わってできた線→隅角
  • 辺 3つ以上の面が交わった点→頂点 
結晶面の呼び方
結晶面の呼び方

平行連晶

軸を共有し、その方向が平行な結晶の集まりです。
石英の平行連晶は、山が幾つも連なったような形になります。
外観が聖堂のような見た目の水晶を、カテドラルクォーツといいますが、これも平行連晶です。
また、軸を共有なので、松茸水晶(セプタークォーツ)等も平行連晶となります。
松茸水晶 Secptrequartz Madagascar
松茸水晶 Secptrequartz Madagascar

双晶

特定の結晶面・結晶軸に互いに対称的である2個以上の結晶がくっついたものです。
色々ありますが代表的なものをいくつか書きます。

単純双晶

2つの結晶がくっついたもの。

接触双晶

二つの結晶がある一つの面でくっついたもの。
接触双晶
接触双晶

貫入(透入)双晶

二つの結晶の一部分が、お互いの結晶の中に入り込んだもの。
貫入(透入)双晶
貫入(透入)双晶

反復双晶

3つ以上の結晶がくっついたもの。

集片双晶

くっついた面が平行な、繰り返し双晶。
集片双晶
集片双晶

輪座双晶

中心を共有して放射状の双晶。
見た目は絵に書いたお花のようです。
桜石は菫青石が酸化して雲母化した3連貫入(透入)双晶であり、輪座双晶でもあります。
桜石-菫青石仮晶-京都府亀岡市湯の花
桜石-菫青石仮晶-京都府亀岡市湯の花

多重双晶

同じようなパターンが繰り返しくっつき、ひとつの結晶がどこまでなのか解らなくなった双晶。

ちょこっとColumn 水晶の左右

水晶に右と左があるのを知っていますか?
ピンク色に塗りつぶした面の斜め上左右に黄色に塗った部分がありますが、この黄色の部分がある水晶で、右側に黄色部分が見えるものが右水晶・左側に黄色部分が見えるものが左水晶といいます。
このような水晶が出来る原因は、原子が結合して螺旋状に配列する時、右・左両方に回り込みながら配列するものがあることが原因だと言われています。
お手持ちの水晶はどうでしょうか?
左水晶 右水晶
左水晶 右水晶

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