クリソタイル Chrysotile

クリソタイル Chrysotile Quebec Canada
Chrysotile Quebec Canada

和名 温石綿(おんせきめん)白石綿(しろせきめん)
蛇紋石グループの繊維状になる種類のことをいいます。
蛇紋石は含水珪酸塩鉱物を含むグループ名で、Mg・Fe・Al・Mn等の元素が富むタイプの鉱物が存在しますが、Mgに富むタイプがこのクリソタイルとなります。

アスベストのメイン鉱物で、アスベストの95%はこのクリソタイルです。
※読み方は多岐にわたるようです。

アスベスト

クリソタイル Chrysotile Quebec Canada
Chrysotile Quebec Canada

アスベストとは、繊維状にほぐれる鉱物に当てはまる名前で、このクリソタイル以外にも存在し、角閃石鉱物もアスベストです。
耐久性があり、耐熱性も高く安価で購入できます。
以前は、糸や紙に使われたり、天井のタイルなどにも使用され身近でしたが、発がん性等が指摘され、製造・使用は禁止となっています。

産状

クリソタイル Chrysotile Quebec Canada
Chrysotile Quebec Canada

かんらん岩の脈より、他の蛇紋石グループの鉱物とともに産出されます。
世界中あちこちで産出され、有名な産地としては、カナダケベック州・ロシアウラル山地や日本の北海道富良野市等があります。

基礎データ

  • 化学組成 ケイ酸塩鉱物 フィロ珪酸塩 Mg3Si2O5(OH)4
  • 色 緑・白・黄・灰
  • 条痕 白
  • 結晶系単斜晶系
  • へき開 完全
  • 硬度 2~3
  • 比重 2.6

以下の文章は気の向いた方のみお読み下さい…

クリソタイル Chrysotile Quebec Canada
Chrysotile Quebec Canada

クリソタイルの分類

  • Clinochrysotile 単斜晶系
  • Orthochrysotile 斜方晶系
  • Parachrysotile  斜方晶系

これ、さんざん引っかかったので記します。

クリソタイルを調べて掘り下げていくと上記3つの単語にぶち当たります。
結晶系が2つあるという記述がなされていてこの単語は全く触っていないものや、この3つの単語を出しながらも、基礎データ表の部分に単斜晶系のみ記述されているものその他諸々…
困り果てた先にやっと捕まえました!mindatにて。
ヨレヨレの英語力でちょっと心配ですが、内容としてはこの3つはすべてクリソタイルのポリタイプとして記載されており、クリノは今まで知られている標本の大部分がこれで、オーソはRare、パラはvery Rare。
これを考えると、ほぼ全てをクリアするクリノクリソタイル→単斜晶系なので、クリソタイル~単斜晶系と基礎データにあっても不思議じゃないなと。
そこで、当サイトでは基礎データの記載は単斜晶系とさせていただきます。
そもそもの分類がかなり遷移しているようで、色々な書き方になっているようです。

クリソタイルの結晶構造

ちなみに、クリソタイルの結晶構造は、ちょっとかわいいです。
もふもふの繊維を小さな世界で見に行くと、ストロー(チューブ状)のような形をしています。
ストローをパチンと切って断面を見てみると、珪酸四面体層とマグネシウム八面体層が対になってミルフィーユのように同心円状に重なっています。
ストローなので真ん中は空洞です。
この空洞が何故あるかというと、珪酸四面体層とマグネシウム八面体層の大きさが違うために、くるんとカールした結果の形です。
(中心は珪酸四面体層で一番外側はマグネシウム八面体層となります。)
細長いストローがたくさん重なって、クリソタイルはその姿となっています。
小さな世界、小さくなって探検しに行きたいですね。

関連リンク
角閃石 AMPHIBOLE