グラファイト 石墨 Graphite

石墨 Graphite
石墨 Graphite

グラファイト 和名 石墨とは炭素からなる元素鉱物で、”黒鉛”とも呼ばれています。
そして、思い浮かぶ方も多いと思いますが鉛筆の芯に利用されていますね。
また、原子炉の建材や歯科で被せ物などの金属を溶かすための容器に利用されたりしています。
車にも(ロータリーエンジンや各部品)利用され、幅広く工業的用途がある鉱物です。
黒鉛→鉛という字が見えますが、鉛ではありません。

石炭と石墨

無煙炭 山口県大嶺 Anthracite
無煙炭 山口県大嶺 Anthracite

石炭は植物が分解されずにそのまま地面に埋まり、泥炭→褐炭→瀝青炭→無煙炭と高圧・高温とともに石炭化が進み、行き着く姿が石墨です。
これは、恐竜の骨や植物などが永い期間、高圧(地殻変動や堆積物によって地面に埋まって圧が高まっていく)高温(地熱など)そして空気は密閉され、化石となることと同じです。

瀝青炭 福岡県大牟田 Bituminous
瀝青炭 福岡県大牟田 Bituminous

ちなみに炭は木を空気に触れないようにしてカマで蒸し焼きにしたものです。
石墨は、炭素原子の周りにいる不純物を黒鉛化した純粋な炭の状態。
空気を遮断し、高温で熱を加えて焼き尽くすもしくは気化させることによってその不純物をなくす事を黒鉛化といいます。
不純物がなくなり、規則的な原子配列となり、六角形の形が横(二次元)に共有結合(電子をお互いに共有する結合)し、この二次元的な結合が層状に少し離れた位置でファンデルワールス結合(ファンデルワールス力による弱い結合)している配列となっています。
想像しやすく言うと、横方向に六角形がつながって広がっていて、縦方向に少し離れた位置にそれが重なっている構造です。

ダイヤモンドと石墨

硬いダイヤモンドと柔らかい石墨。
おなじ炭素でできているはずですが、なぜこうも違うのか。
それは先程触れた、結晶の配列(結晶構造)によるものです。
ダイヤモンドは三次元的に手をつなぎ、全て共有結合していることがその硬さの鍵です。
化学組成が同じで結晶構造が異なるものを同質異像(多形)といいます。
これは圧力や温度など、石が作られるときの違いによってどの石になるか決定されます。
まさしくこの石墨とダイヤモンドです。

2014.3.29 SLみなかみ号 D51乗車記念 COAL
Coal 2014.3.29 SLみなかみ号 D51乗車記念にもらった石炭

産地産状

六角板状や土状・塊状などで産します。
有機物を含む堆積岩や炭素が熱水と反応してできます。
(これまでの解説を読んでいただければ予測が付きますね。)
日本での産出は、北海道の音調津や岐阜天生鉱山等。
工業業採掘が行われている海外の産出地は、スリランカ・メキシコ・カナダ等があります。
石墨は産業利用がとても多く、世界のあちこちで産出されますが、人工の石墨もあり利用されています。

石墨で落書き
石墨で落書き!

基礎データ

  • 化学組成 元素鉱物 C
  • 色 黒
  • 条痕 黒色
  • 結晶系 六方晶系
  • へき開 完全
  • 硬度 1~1.5
  • 比重 2.2
石墨片岩 埼玉県秩父 Graphite Schist
石墨片岩 埼玉県秩父 Graphite Schist