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プリニウスの博物誌 琥珀3

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※この文章を読む前に、プリニウスの博物誌についてを必ずご一読した上でお読みください。

琥珀が北海にある島々の産物であること、それはゲルマニア人に「グラエスム」として知られていること、その結果、カエサル・ゲルマニクスがそこで分艦隊を率いて作戦指揮に当っていたとき、そこの土地でアウステラウィアといっているそれらの諸島のひとつが、わが軍によってグラエサリア<琥珀島>という別名が与えられた、ということは十分に立証されている。
カエサル・ゲルマニクスはローマの軍人で、ゲルマニアへ赴任し戦い、領土を広げた人物。
今となってはその島がどこかはわかりませんが、当時の事実の一つとしてこの話を聞いた話ではなく、自身の言葉として話しています。
そして、プリニウスさんはこう続けます。
話を進めて、琥珀は、樹液が過剰になるとサクラの木から樹液が、マツの木から樹脂が吹き出すのと全く同じく、マツの一種の内部から滲出する液からできる。
その滲出物は春の潮がそれを島々から運び去った後、霜によってあるいはたぶん適当の温度によって、あるいはまた海によって固体化される。
とにかく琥珀は本土の浜に打ち上げられる。
それはごく容易に流されるので、海底に沈まずに、水の中で浮動しているらしいのだ。
すでにわれわれの先祖たちもそれが木からのスクス<汁液>であると信じていた。
それでそれをスキヌム<琥珀>と名づけた。
それを出す木がマツの種類であることは、それを擦るとマツのような匂いがすること、そして火をつけると松明のように燃えて、同じ強烈な匂いの煙が出ることで示される。 すごくセンスいいですね。
琥珀は樹木から出る樹脂が長い年月をかけて化石になったもの。
マツの種類と話していますが、現在、琥珀の元の樹木の種類はいろいろあることが解っていて、現存している樹木もあれば絶滅してしまった樹木もあります。
埋もれてしまった樹脂が海流にのって移動し、海に浮動していることは以前話しましたが比重の問題にも絡み、実際に同じ動き方をします。
マツであることの説明も記されていて理解しやすいです。
それはゲルマニア人によって、たいていパンノニア属州に運ばれる。
そこからパンノニア人の直ぐ隣人で、アドリア海のまわりに住んでいる種族の、ギリシア人にエネトイ族として知られているウェネティ族によって初めて世間に出された。
パドゥス河と結びつけた話の…

プリニウスの博物誌 琥珀2

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※この文章を読む前に、プリニウスの博物誌についてを必ずご一読した上でお読みください。
デモストラトゥスは琉拍をリュンクリウム<リュンクスの小便>と呼びそれはリュンクス<オオヤマネコ>として知られている野獣の小便からできたもので、雄は黄褐色で燃えるような色のものを、雌はもっと薄くて明るい色のものをつくるのだ、と主張している。 彼にしたがうと、琉拍をラングリウムと呼び、イタリアに住んでいる獣はラングリであると言っている人もあるという。
ゼノテミスはその同じ動物をランゲスと呼び、それはパドウス河の岸にいるという。
一方スディネスはリグリアにある琥珀をつくり出す木はリュンクスと呼ばれると書いている。
メトロドロスも同じ意見である。
琥珀は動物のおしっこからできている。 このことについてたくさんの人の話をプリニウスさんは紹介しています。 それぞれのお話を聞いてみましょう。

デモストラトゥスさん曰く
琥珀はリュンクリウム<リュンクスの小便>と呼ばれているんだ。
リュンクスとはオオヤマネコのことで、オスのおしっこからは黄褐色で燃えるような色でメスのおしっこは薄くて明るい色なんだよ。
でもね、このリュンクス<オオヤマネコ>のことをイタリアに住んでいる獣はラングリっていう名前で、琥珀はラングリウムっていう人もいるんだよね。 ゼノテミスさん曰く
このリュンクス=ラングリ=オオヤマネコはランゲスっていう名前だよ。
パドゥス河=ポー河の岸にいるよ。スディネスさん曰く
リュンクスってさぁ、リグリアにある琥珀を作る木の名前なんじゃないの?メトロドロスさん曰く
あ~それ、おれもそう聞いたよ。という展開です。
伝達ゲームの成れの果てというか言い伝えってこういう風に展開されていくのよねきっと的な感があります。

ここで。
文章をちょっと飛ばして、もっと後のほうに、”リュンクリウム”という段落が存在します。
リュンクリウム
次にわたしがリュンクリウムについて語らざるを得ないのは、わが国の権威者たちの頑固さのためである。
というのは彼らはこのリュンクリウムが琥珀であると断言することを差控えるときでも、彼らはこれは一種の宝石だと主張し、それはほんとうはオオヤマネコの小便からできるのだが、また一種特殊な土からもできると述べているからである。 プリニウスさんの反撃が始まります。
彼らはこの動物は人類に対して一種…

プリニウスの博物誌 琥珀1

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※この文章を読む前に、プリニウスの博物誌についてを必ずご一読した上でお読みください。
奢侈
※1の中で次の位置を占めるものは、もっともまだ婦人だけが好むものだが、琥珀である。
今検討している三つの物質は、いずれも宝石として同等の名声をもっている。
前二者の場合はその名声に適当な理由がある。
というのは水晶の器は冷たい飲物に用いられ、蛍石の器は熱いものにも冷たいものにも用いられる。
ところが、さすがのも奢侈も、今もって琥珀の使用を正当化する用途を発明し得ないでいる。 ※1 奢侈(しゃし)[名・形動]度を過ぎてぜいたくなこと。身分不相応に金を費やすこと。また、そのさま。「奢侈に流れる」「奢侈な生活」 この文章の前に、蛍石と水晶についてプリニウスさんは触れています。 蛍石
この物質(蛍石をさしています。)は一種の液体でそれが地下で熱によって個体になったものだと考えられている。
(※ 蛍石と記載があっても、今でいう蛍石と完全に同一のものかは謎です。)
水晶
水晶は度を越して強く凍結したため固化したものなのだから。これが”前二者”です。
蛍石に関しては、蛍石の器でお酒を飲むということが流行ったようです。
蛍石の器より
執政官級の……は、7万セステルティウスの対価を払った蛍石の器で飲んだが、それは3セクスタリウスしか入らないものであった。
彼はそれがひどく好きであってよくその縁を咬んだものである。
それでもそのためにできた損傷はかえって価値を高めた。……と、実名を隠すあたりは何とも優しい。

ロバは500セステルティウス。
ひとかたまりのパンは約0.5セステルティウス。
古代ローマの1セクスタリウスは約0.5リットル。
ロバが140頭=蛍石の器で1.5リットルと計算すると、器の大きさはまぁまぁなのかなとおもいますが、ロバ140頭と考えると高価なものだったということは理解できます。
琥珀はご婦人たちに大人気で、水晶・蛍石・琥珀は同じように名声をもっていて人気がある。水晶と蛍石は器等使用用途があるが、琥珀は全く使用用途がないけれど、ご婦人たちには大人気ということのようです。
ここにギリシア人たちの数々の欺瞞をすっぱ抜く機会がある。
わたしはただ、わたしの読者諸君に、辛抱してそれらのことを聞いてくれるようお願いするだけだ。
というのは、ギリシア人が語ったことがすべて賞賛に値するというわけ…

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